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記者論(6)
地方文化を見つめて

報道局生活文化グループデスク 園田 寛

文化が生まれる場所

地方文化について語る園田デスク
 文明と文化の違いを考えてみたい。文明とは合理的、機能的なもので電化製品、下水道、交通信号、デパート、銀行など生活を便利にするものである。対して文化は、例えば障子の開け閉めの作法、ひな祭り、端午の節句、クリスマスなどの行事や、あるいは鯨を食べることを食文化と言う。もちろん美術、音楽、文学、映画、舞台などは文化に属する。「文明の衝突」と言うが「文化の衝突」とは言わない。基本的に衝突するのは文明の利益であり、文化はむしろ平和を生む。
 
 佐賀の文化を、分野別に概観してみよう。
 
 【美術】日本の洋画は黒田清輝に始まると教科書で教わるが、佐賀の百武兼行は鍋島直大に随行してイギリス、イタリアで絵を修行し、黒田よりも先に本格的な西洋画を描いている。その後、官展派として優美な女性像で人気のある岡田三郎助、「米欧回覧実記を」書いた久米邦武の長男、久米桂一郎らが出ている。こうした正統派と正反対に、残酷なエロティシズムを追求し、三島由紀夫に絶賛された古沢岩美や、アングラ的なパフォーマンスを行う池田龍雄、魔術的な銅版画、小口木版の三塩英春など異端的な美術作家も佐賀は輩出している。26歳の若さで、事故で亡くなった宮崎駿的な感性の画家野村昭嘉もいる。  
 
 【音楽】日本のピアニストの先駆け、小澤征爾のピアノの先生だった豊増昇や、日本の古楽器演奏のさきがけであるチェンバロ奏者、鍋島元子も佐賀出身であることは、意外に知られていない。  
 
 【文学】「次郎物語」の下村湖人、童話作家の吉田絃二郎、武士道の不条理を描いた滝口康彦、元ジャズピアニストで鳥栖在住の直木賞作家、原りょう、農民作家の山下惣一、幻想小説の小澤章友、最近は「三国史」などの長大な物語に取り組んでいる北方謙三らがいる。また、佐賀大学の先輩でファンタジー作家の前田珠子も活躍している。
 
 【書道】明治政府の重要な政治家で、書家以上に個性的な字を書いた副島種臣(蒼海)、斎藤茂吉の先生であり日本の近代書道の礎を築いた中林梧竹がいる。  >>次のページへ