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1月の紙面
第9回
エコアクション21
試行段階でも実績着々
各研究室から出されたごみの量を測る学生たち
佐賀大9000人
全学挙げた壮大な挑戦

各研究室から出されたごみの量を測る学生たち=理工学部9号棟1階ロビー
 佐賀大学本庄キャンパス理工学部9号館。学生たちが毎週金曜日、8階建ての館内から出た可燃物やペットボトル、缶など、ごみの重さを計る。「この研究室はちょっと可燃物ごみが多い。紙類を資源ごみに分別すれば減量できるね」。循環物質工学専攻の大学院2年生橋本拓也さん(24)がデータを記入しながら研究室仲間と語りあう。
 佐賀大学は昨年末、国立の総合大学としては全国で初めて、「エコアクション(EA)21」の認証取得に乗り出した。それに先駆け、一昨年12月、理工学部機能物質化学科はEA21委員会を設置。エネルギーの節約と、廃棄物の把握、コントロールを柱に、実践、試行を続けてきた。
 専攻、課程ごとに区切られた研究室。ガス空調の温度は、夏が28度、冬は20度に統一設定。加えて、1時間使用したら空調が切れるようにタイマーをセットした。余熱、余冷が効かなくなったころ、スイッチを再び入れるという取り決めだ。
 実験で垂れ流して使っていた冷却水は循環型に変えた。電灯はこまめに消した。
 実践から1年。昨年12月の段階で水道の使用量が半減大きな経費削減につながった。
 「競争の原理」も働いた。空調の使用料は研究室ごとにチェックできるため、学科を4つのグループに分けて集計。データを毎月知らせてきた。結果、館全体の空調使用料は6割近く減少した。
 「数値を知ることで、自分たちの環境意識を知る。それが省エネへの近道」と指導役の滝澤登・助教授(52)。
 かつて「象牙の塔」と呼ばれたように、大学は社会と隔絶した閉鎖性が指摘されてきた。誰かが払ってくれると、コスト意識は低かった。しかし独立行政法人化で経営感覚を求められるようになったことも、省エネに取り組む要因となった。
 ものにあふれた時代に育ってきた若者に対する環境教育の側面からも効果がある。橋本さんは最初は慣れなかったごみの分別も、一年経った今、ペットボトルはラベルとキャップをはずして分別するなど、自宅でも自然と実践するようになった。
 環境マインドを持った学生を地域社会に送り出すことは一つのムーブメントになる。アジア諸国からの留学生も多い。彼らが国に戻った時、佐賀大での実践を、一人でも多くの人に伝えれば環境意識は広がっていく。
 新しい年になり、いよいよ今年7月のEA21の認証取得に向け全学部が動き出した。「それぞれの現場でそれぞれに知恵を出し、工夫して継続的にやることに意味がある」とEA21を統括する環境安全衛生管理室長の宮島徹教授(56)。
 学生、教官、職員合わせて約9千人という巨大組織・佐賀大学。目標達成に向けてどういったノウハウが生まれてくるのか。たとえば、医学部の病院では患者サービスの低下を来たさずに、環境目標をどう達成していくのか。壮大な取り組みを、地域社会や民間企業が注目している。

機能物質化学科の種類別廃棄物排出量
空調使用料・水道使用量
   
ごみの量をデータベース化する橋本さん
ごみの量をデータベース化する橋本さん。研究室ごとの量の違いが一目で分かる
「エコアクション21」
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